「でも今度のテストって、遠征の次の日だからきついよね。今度こそ勉強して弘樹に勝つつもりだったのに」


「俺に勝つつもりだったのかよ。亜美じゃ無理だよ」


なんで。

私だって頑張ってるのに。



「……勝つよ」


「じゃあ、もう俺のノート要らないよな?」


いや、それはちょっと困る。

今回も当てにしてたのに。


「ダメ。いる」


「……もうちょっと悩めよな。いいよ、ありがたく借りとけ。そして、俺の偉大さを知れ」


「偉大さって、あんた誰よ」


やり取りが可笑しくなって、2人とも笑ってしまった。


なんだかんだ言っても、絶対に弘樹はノート貸してくれるから。


私が頼んだこと断ることほとんどないもんね。


こういう時、甘やかされてるなって実感してしまう。



「ほら、亜美、家着いたぞ。また明日な」


「うん、また明日―。おやすみ」


今日も弘樹は私を家まで送ってくれた。


これも毎日の日課。


本当に私甘やかされてるな。