決勝リーグ一回戦。


現在先鋒である、小百合先輩が試合をしている。


流石に小百合先輩も苦戦しているようだった。


その試合場の外で、先輩の試合を見守りながら、私は待機していた。



心臓が口から出てくるんじゃないかと思うくらい緊張している。


あー、ヤバイ。
心臓バクバクいってるよ。


緊張感高まる中、朝の先輩の言葉を思い出した。


私は出来る。私は出来る。


ここまで頑張ってきたんだ、簡単に負けるはず無い。


自分を信じて、先輩たちを信じて……


心の中で呟いた。





――ピィーー!!


先鋒の試合時間終了の笛がなった。


「一本勝ち、勝負あり」





……小百合先輩が負けてしまった。


小百合先輩の負ける試合を見るのは、公式戦では初めてだった。


ここまでくれば、相手も強いんだよね。


「思い切り行け」


試合場に入れ替わり入るとき、すれ違いざまに小百合先輩が言った。


そして、私の背中を軽く叩いて送りだしてくれた。


よし。行こう。





さっきまで騒がしかった会場が、一気に静まり返った気がした。