そうなのだ。

最近の私の様子を見かねてというか、私の様子にお母さんがキレた。


そして、弘樹に教えてもらいながら週末だけでも勉強するように義務付けられた。


私には話を通さず、弘樹に直接頼むという、なんとも強引な手に出たのだ。


両親が忙しくて夜1人のことが多い弘樹を、夕飯で釣って。



「亜美んちの飯うまいからな。でも俺のノートのお陰でこの前のテストは成績良かったんだろ?」


「弘樹には負けたけどね」


弘樹は学年で5位以内に入っているという、恨めしい結果だった。


「いや、亜美も12位だったじゃん。今回こそ勝てると思ってたのに。てか、いつの間に2人で勉強なんかしてたの。私聞いてない」


言いたくないけど、弘樹のお陰だっていうのは分かってる。


別に真美に内緒にしていたわけじゃなくて、言うのを忘れてたというのが正しい気がする。


「だって、これといって特別なことでもないし、言い忘れてたよ」


今までも時々部活帰りに家でご飯を食べて帰ったりもしていたしね。


弘樹の両親からお母さんが頼まれていたらしい。


正しくは、うちのお母さんから言い出したみたいだけど。


この習慣は小学生の頃からあったから、弘樹が家に来るのは、特別なことじゃない。




「今までもよく亜美んち行ってたからな。最近回数が少し増えたくらいだもんな。とりあえず、県大会終わるまでだろうけどな」


「まー、亜美大変そうだもんね。とことん弘樹使いなよ」


「俺の扱いひどくね?」


弘樹の言葉に真美と2人笑った。


疲れきった体も、こうやって笑って話していると忘れられるから好き。


2人の存在に甘えちゃってるよなーって思うけど、もう少しこの居心地のいい空間にいさせて。


県大会が終わるまでは。


そしたら私もちゃんと部活以外も甘えず頑張るからさ。