県大会までは毎日が忙しく、けれど毎日が楽しかった。


この期間、私は部活にのみ専念した。


毎日夜遅くまで稽古をして、帰ってご飯を食べてお風呂に入って、すぐにベッドへダイブ。


泥のように眠った。


授業も眠くて、眠くて。


……というか、ほとんど眠って過ごした。





「亜美、随分お疲れだね。練習きつい?」


午前の授業が終わったところで、真美が起こしてくれた。


「充実はしてるけど、正直きつい。授業も寝ちゃってばっかりだからね」


「その状況で成績落ちてないって恐ろしいよ」


それは……






「俺が時々教えてやってるからな」


「あっ、弘樹」


私が答える前に、どこからかやってきた弘樹が答えていた。


「何、何?どういうことよ」


「平日は夜遅くて勉強なんてこいつしないだろ?だから、土日の夜にこいつの家で俺が教えてやってんの」


「教えてやってるって、弘樹はお母さんとおしゃべりしてばっかりじゃん。ノート見せてくれてるだけでしょ……分からないところはたまーに聞くけど」