ガタンガタン…


電車がゆっくり動きだす。



ガタンガタンガタン…



「葵…その…ごめんな…」



ガタンガタンガタン…


お父さんの顔が下をむいた。



「お父さん、…新生活だね。」



あたしは上をむいて、お父さんの方に振り向きなおす。

お父さんも気づいて顔を合わせる。


「そーだなあ…葵も高校生だもんなあ」

「制服可愛いんだよ。似合うかなあ?」

「葵にかあ…似合うと思うぞ。美人だし」

「お父さんにとってはね!」とあたしが言うと「ははは、そうか?」とお父さんの顔がほぐれた。



ガタンガタン…





「葵、元気か?」






ガタンガタン…




「元気になるよ、あたし。」





元気になるよ。