「・・・・・俺はさ・・・・・」


静かに言葉を発するヒカル。



「俺は、今でもヒカリに、恋してんだよ・・・・・・」



小さな、呟きのような言葉に、私は目を見開く。





「今、でも・・・?でも、でもヒカル、そんな素振り全然・・・・・・・」

「俺、【魔の島】行って、演技とか嘘とか、上手くなっちまったみたいなんだ。
だから、鈍感なヒカリは気付くはずないんだよ。」

「私鈍感じゃないからっ!!!」

「はいはい。」


軽くあしらわれたんだけど!

ムカつく!!



「とにかく、さ。俺は今でもヒカリに惚れてるんだよ。ダッセーけどさ。
だから、そんな『大好き』とかいうの、言いまくんな。

・・・・・キス、悪かったな。嫌だったろ?

俺、諦め悪いから、最後に踏ん切りつけるために、させてもらった。」



胸が、きゅぅっと締め付けられた。



ヒカルの、切なそうな顔を、苦しげに揺れる瞳を、辛そうに握り締められる手を・・・・・・

まともに、見る事ができない。



「ホント、ごめん。」

頭を下げるヒカルに、私は首を振った。



「ううん。いいの。いいんだよ、ヒカル。私こそごめん。全然気付かなくて、1人だけ勝手に、思い出にして・・・・・・」


「違う、ヒカリ。いいんだ、その方が。俺にとっても。ヒカリにとっても。」