――俺たちは王宮から迫害され、もう戻ることを許されない。そんな俺たちの娘が王族の者と結婚することは、できないんだ。

 髪をとき、クリスティーヌは家を出た。

 家を出て、向かった先は王宮だった。

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 王宮に到着したところで、不意に

「来たか」

 頭上から声が降ってきた。

 クリスティーヌは上を見上げる。

 父が夫婦樹と言った樹の枝に、カイルと名乗った王子が立っていた。

「王子様…」

 クリスティーヌは小さな声で呟く。

「で、返事は?」

「あ、あの…。それは…」

 クリスティーヌは、単刀直入に聞かれて戸惑った。