「私たちを見てるようね」

 同じことを思ったらしく、ガブリエルが耳打ちしてくる。

「あぁ、そうだな」

「何、二人でひそひそ話しちゃって」

 クリスティーヌが頬を膨らませ、文句を言った。

「いや、すまない。オマエの話を聞いたら昔のことを思いだしてな」

「昔?」

「あぁ、俺と母さんが出会ったばかりの時のことだ」

 オラシオンが言うと、クリスティーヌは

「私たちに似てるの?」

 と聞いてくる。

 オラシオンは頷いた。

「どこが似てるの?私の相手は、王族の人なんだよ?」

 クリスティーヌに聞かれ、オラシオンは全てを話す覚悟を決めた。

「オマエにずっと隠していたことがある」

「…え?」

 彼女が目を見開く。

「俺は、今の国王の前の国王だったんだ」