「彼女、来てくれるといいですね」

 ロッドの言葉に、カイルは肩を竦めてみせた。

「さぁな。来なくてもいい」

 むしろ、来ないでくれとカイルは願った。

 叶えられない恋ほど、会えば会う分だけ虚しくなる。

 叶えられないなら、胸の奥に想いを仕舞い込んで自分だけの秘密にしておきたかった。

「王子様、今日は随分と…「うるさい」

 カイルはロッドの言葉を遮り、テアンの待つ部屋へ入った。