それから、川崎さんから電話がかかってくることはなかったけど──
何となく嫌な予感がしていた。
あたしの思い違いだと思いたいけど。
胸のざわめきが止まらない。
あたしは知っている。
いい予感というのはあまり当たらないけど。
嫌な予感というのは見事的中してしまうことを……
───週末明け。月曜日。
いつも通り、何事もなく仕事を終えて会社を出た。
駐車場に向かう途中。
あたしは足を止めた。
スーツ姿の男の人が立っていた。
変わらない、サラサラの茶色の髪の毛。
好奇心旺盛そうな女の子みたいな大きな瞳。
スラッとした細身の体。
川崎さんだった──。