「うーん。そんなにないよ。段ボール三箱くらいかな?」

「明日には片付くな」

「元々、荷物少なかったからね。実家で要らない物は処分してきたし」

「オレはほとんど置きっぱなしだけどな」

「ねぇ? 洋介?」


あたしは「荷物」と言う言葉で、洋介に聞きたかったことを思い出した。


「何?」

「平田彩さんって、誰?」

「はっ?」

「実家で荷物まとめてたら、『連絡待ってます』って書かれた紙が出てきたの」


ポケットから紙を取り出して、洋介に渡した。


「何で舞がこの紙持ってるんだ?」

「ほら、離婚した後、2人で住んでたマンションに1回だけ行ったじゃん。その時あたし掃除してた時にこの紙見つけたの」

「それをそのまま持ってたわけか」

「うん。捨てていいのか分からなくて」


というのは、口実。