新しい恋をして洋介のこと忘れようと思ったのも事実。

でも、今の気持ちのまま慎吾とつき合うのは慎吾に失礼だ。

ううん。うまくいくハズがない。


「まずは、川崎さんの件を片付けてから、洋介さんに気持ち伝えた方がいいかもね」

「洋介に気持ちを?」

「伝えないの?」

「伝えないよ。もういいの」

「でもそんなんで、洋介さんのこと忘れられるの?」

「……」


洋介のことを忘れる日──。

気持ちを伝えても伝えなくても、そんな日は永遠に来ない気がした。


それから、あたしと弥生は、洋介に会うの会わないの堂々巡りの会話を繰り返し、

最終的にこればかりはあたしの気持ち次第ということになり、弥生はもう口を挟むことはしないと言っていた。


「でもさ、舞」

「何?」