でもここで怯むわけにはいかない。

これはチャンスなのだから。

オレは車から降りて、助手席側に回りドアを開けた。

舞の手を取り引っ張るようにして車から降ろした。


「慎吾……」

「……」


手をつないだまま、マンションへと向かう。

家に着くまでの間、舞が何度かオレの名前を呼んだけど、完全なる無視を続けた。

強引な方法だと分かっているけど、こうすることでしかつなぎ止めることが出来ない。


オレは今までにないくらいの緊張状態で、舞を部屋の中に入れた。