正直、もう少し気まずいものかと思ったけど、そんなこと全然なかったな。


「会ってくれて嬉しいよ」

「どうせ断っても来るつもりだったんでしょ?」

「さすが、舞。オレのこと分かってきたじゃん」


やべぇ。

舞が助手席にいるという事実が嬉しい。

テンションが一気に上がった──その時だった。


ピルルルル……ピルルルル……


舞のスマホが鳴った。


「あっ。ごめん。バイブにするの忘れてた」

バッグからスマホを取り出した舞の顔つきが堅くなった。

相手は澤村さんで間違いない。

ピルルルル……ピルルルル……ピッ。