「あら、洋介くん、こんばんは」
「こんばんは。あの、舞って帰ってますか?」
「それが昨日から帰ってないのよ。まぁ。明日から仕事だし、今日中には帰ってくると思うけど」
まだ帰ってないのかよ……。
オレはため息をついた。
時間は夜の7時を回っているというのに。
まだあの男と一緒にいるのかよ?
舞があいつと東京にいる聞いた時から、オレは気が気がじゃなかった。
おかげで、今日一日中仕事が手につかず。
仕事帰り、舞の実家に寄ったというわけだ。
「良かったら、家上がって待ってる?」
「はい。そうさせてもらいます」
舞の実家に上がるのは、離婚してからこれでもう三度目になる。