「母さん、洋介君だったら、いつでも再婚賛成だからね」

「はいはい。行ってきます」

背を向けて、キッチンを後にした。


玄関のドアを開け、外に出ると、夕方の涼しい風が吹き抜けていく。

季節は初夏。6月。

日も随分と長くなった。


洋介は自分の車の前で携帯灰皿を片手にタバコを吸っていた。


「あー! 洋介、禁煙するって言ってたじゃないの!」

あたしは洋介からタバコを奪い火を消した。

「へぇ。舞、覚えててくれてたんだ。オレが禁煙始めたこと」

「……何となくよ」


本当は覚えていたんだけどあえて言わないでおこう。


「じゃあ行こうか? オレの車乗って」

「うん」