樹里がオレを睨みつけた。

“エッチ拒んだくらいで拗ねないでよ”──と、目で訴えているような気がする。


オレは無言で背を向け、着替えもせずにスーツ姿のまま外に飛び出した。

そして向かった先は、樹里とつき合い出してから行くようになった飲食店。

マスターに話を聞いてもらおう。

そんなこと思いながら店のドアを開けると──


「おっ。佐伯じゃん」


ゲゲゲッ!?

カウンター席にはビールを飲んでいた落合さんがいた。

はーっ。何でいるんだよ!?

樹里の元カレとまさかの遭遇……。


「亮二くん、いらっしゃい」


厨房から顔を出した。