「いいって。オレ行ってくるよ」

そう言って、亮二はリビングから出て行った。


バタンと玄関のドアが閉まる音がする。


「はー。最悪~!!」


あたしは頭を抱えた。

少しだけ寝るつもりが、がっつり爆睡してるし。

挙げ句の果てに、残業で疲れている亮二に夜ご飯買いに行ってもらって。

あたしって典型的なダメな女?


もし──。

亮二の彼女が笹原さんだったら……

ふとそんなことを考えてしまう。

しっかり者の彼女のことだもん。

きっと、ご飯の準備は完璧にして待っているハズだ。

ましてや、仕事から帰ってきて、すぐにビールなんて飲まないんだろうなぁ。