「ありがとう」

なぜ、会社に寝癖直しを置いているのか、疑問に感じながら、プシューっと寝癖直しを髪の毛先にかけた。


「クシはある?」

「うん…。持ってる」

寝癖直しを返して、化粧ポーチからクシを取り出す。

「これ、スゴイ効き目でしょ?」

「うん」

あたしの寝癖は直っていた。


「その感じだと、メイクもして来てないでしょ?」

「…うん。時間なくて」

そう言うと、笹原さんは自分の化粧ポーチをバックから取り出して、メイクもやってくれた。


あたしが使っているメイク道具より、遥かに上等な道具を使っているな……。


そんなこと思いながら。

メイクをされるがままになっていた。


「はい! 完了!」


鏡で見せてくれる。