「雨で少し濡れたし、シャワーでも浴びてこいよ」

重い雰囲気が漂う空間の中で、そんな事を口走っていた。

何やってるんだオレは......⁉︎
今、大事なのはシャワーではない。

樹里はうつむいたまま、うんともすんとも言わない。
相当怒ってるんだろうか?

「あのさ」

声をかけたタイミングで、抱きついてくる樹里。

「嫌いにならないで....」

「嫌いになんかなってないよ」

「本当に?」

「本当だよ。嫌いなら抱きつかれても振り払うよ」

「でも、あたしすごく嫉妬深い女だよ。独占欲だってあり余ってるし。男の人はそいうのが鬱陶しいもんじゃないの?」

「それは度合いに寄るけど、オレは惚れた女にそこまでの嫉妬深さと独占欲を持たれて最高に惚れられてるみたいで嬉しくなる」