「男の人と相合傘なんて久しぶり」

「もっといい男と相合傘したかっただろう?」

「亮二で十分よ」

こんな冗談話をしながら、正門を出てすぐだった。

樹里が傘をさして立っている事にすぐに気づいた。

「樹里.....」

「あら。寺原さん。もしかして亮二待っててあげたの?」

「......」

瑠衣の問いに樹里はうつむいて何も答えない。

それどころか、背を向けて走り出してしまった。

「樹里!」

「ちょっと寺原さん!」

オレと瑠衣は追いかけた。