元々、オレ達は朝は一緒に通勤するけど、帰りはほとんどオレが遅くなるから別々。

雨がもう少し早く降っていれば、樹里にメールして一緒に帰っていただろう。

スーツを雨で汚すのは面倒だ。
車のシートまで汚してしまう。

しょうがない。雨が止むのを食堂でコーヒーを飲みながら待とうーーそう思ったその時だった。

「傘持ってないの?」

瑠衣がオレに聞いてきた。

「あぁ。参ったよ。帰り際に雨なんて」

「良かったら入ってく? あたしも駐車場行くし」

一瞬、樹里の顔がチラついたけど、ほんの少し傘に入れてもらうだけだしいいよな? そう思い直し瑠衣の傘に入れてもらうことにした。

雨は止む気配はなく地面を叩きつけるように、降り続いている。