あたし達は顔を見合わせて笑う。

こんな話をした後、紅茶を一口飲んだ。


そして、ふいに食堂の出入り口の方に目をやった。


すると、亮二の姿が見えたんだけど……

隣には女の人が立っていた。


何だかとても楽しそう。

亮二は笑顔で話していた。


亮二と女の人は、コーヒーを淹れて適当に空いていたテーブルに向かい合わせで座った。


誰? あの女の人は誰?

彼女が食堂にいると知ってて、あえて異性と食堂に入ってくるなんて。


「あの人、笹原(ささはら)さんよ」

あかねがあたしの視線を追い、状況を呑み込み口を開いた。

「笹原さん?」

「笹原瑠衣(ささはらるい)。部署は違うけど、何度か一緒に仕事したことあるよ」

「そう……」

「不倫してたって噂あるんだよ」

あかねが声を潜めて言った。