『いってぇぇぇぇっ!!』
奇襲を受け、飛び起きたジンは同時に叫び声に近い悲鳴をあげ、部屋中に響き渡る目覚まし時計の音をかき消した。

『やっと起きた♪おはよっ!ジン!』

奇襲の主犯とは思えないぐらい無邪気な笑顔を浮かべながら少女はジンに言った。

『サオリ!!テメェなにしやがんだ!』

対するジンは痛みに耐えながら罵声を少女に浴びせた。

が、少女はその笑顔を曇らせる事なく、

『おはよっ♪』

と再びジンに挨拶してきた。

少女の名前は“サオリ・サイラス”。

ジンのマンションの近くの高校に通う17歳。

毎日のようにジンのマンションに押し掛けてくる彼女は、ジンにとってはトラブルメーカー以外の何者でもなかった。

が、当のサオリ本人は楽天的な思考の持ち主であり、ジンの迷惑なんて知るよしもないといった状態だった。

『おまえなぁ。なんで毎日毎日うちに来るんだよ!たまには真っ直ぐ帰宅しやがれ!』

ジンはここぞとばかりに今までの不満をサオリにぶつけた。