一方その頃、サオリは真っ暗な部屋で目を覚ました。
ジンとの電話の後、泣きつかれて眠ってしまったらしく、右手には携帯がしっかり握られていた。

目の前にある小窓からはネオンとはまた違った光が差し込んでいた。

『もう朝なのかな…?』

サオリはゆっくりと立ち上がり、小窓に近づいた。

そして窓から外を見ようとしたその時、サオリはある事に気が付いた。

『違う…この部屋、昨日の夜にいた場所と違う…昨日はこんな窓なかった…』

一気にサオリを得体の知れない恐怖が襲ってきた。

『ここは何処なの…?ジン…早く助けに来てよ…』

サオリはその場に崩れ落ち、再び涙を流した…