部屋を飛び出してから一体どれくらいの時間が流れたのだろう…。無機質なエリアSのネオンだけを見続けて走り回っていたジンにはもはや時間の感覚はなかった。

携帯のバッテリーはとっくに尽きていたし、腕時計もしていない。

単なる偶然なのかもしれないが、ジンにとっては何者かの見えざる手が働いてるような気がしてならなかった。

ここ数日のおかしな出来事はジンの精神を崩壊させつつあった。

あの夜の謎の男達

一度死んで生き返ったサオリ

そして…キサラ…

平穏で退屈だったジンの生活は今では遥か昔の出来事みたいになっていた…

『いったいどうなってんだよぉ~!!』

走り疲れたジンは立ち止まり叫んだ。

辺りには人影もなく、廃ビルのような建物がいくつも不気味に存在していた。

まるでジンを嘲笑っているかのように…