ジンは混乱していた。

昨晩確かにベッドで寝た記憶はあった。

なのに目覚めるとソファーの上。

《あれは夢なんかじゃあなかった!》

ジンは確信した。

そしてキサラを探しに行こうと携帯と財布、タバコを持って立ち上がった。

すると、ポケットの中で携帯が鳴った。

携帯を取り出して画面をみるとそこには“サオリ”と表示されていた。

ジンは慌てて通話ボタンを押し、携帯を耳にあてた。
すると受話器の向こうから
『ジン…助けて!』

と震えた声でサオリが助けを求めてきた。

『サオリなのか?どうした!?今どこにいるんだ?』
『それがね…。わかんないの…。真っ暗な部屋にいるんだけど、人の気配もしないし…怖いよ…』

サオリはそう答えると泣き出してしまった。

ジンは困惑した。

サオリからの情報だけでは彼女を探すのに足りなすぎた。

『サオリ、いいか。とにかくそこから外に出ろ。そしたらもう一度俺に連絡しろ。いいな?』

ジンはサオリに諭すように言った。

そして二人はほぼ同時に電話を切った。