ＫＡＴＡＮＡ

“キサラ”その名前を聞いた瞬間、サオリの左胸に刻まれていた“Ｋ”の文字がジンの頭の中に浮かんだ。
『おいキサラ！お前一体何者なんだ？！なんでサオリにとり憑いてんだ？』

『人を悪霊みたいに言わないでくれる？私がこの娘を選んでユニゾンしたわけじゃないのよ。一週間前、あの男が血迷って反逆なんて起こさなければ私は覚醒しなかったのよ。』

そう言ったキサラの目には何故か哀しみが内在してるようだった。

その目を見た瞬間、ジンは自分の中のキサラに対する恐怖心と怒りが薄れていった気がした。

『サオリは一体どうなっちまうんだ？』

ジンは先ほどよりも優しい口調で問いかけた？

するとキサラは

『心配しないで…』

と言って、自らの手をジンの前にかざした。

その瞬間、ジンの視界が真っ白になった…

気がついた時、キサラの姿はなく、ジンは自宅のソファーの上に横たわっていた。

《もしかして夢だったのか？》

そう思って時計を見ると、17時50分だった。