時は西暦2067年。

日本は大国アメリカの一部となっていた。

そして日本という名は“NIPPON州”と変えられ、国としての自由も権力も全てアメリカに奪われていた。

唯一残っているものと言えば、日本語のみだった…。
NIPPON州 TOKYO。
州一の大都市にこの物語の主人公“ジン・クレナイ”はマンションを借りて住んでいた。

(ジリリリリ…)

目覚まし時計が起床時間を告げる頃、ジンはまだベッドの中で眠り続けていた。
起床時間といっても外はすっかり夕暮れ時で、窓からは夕日の光が射し込み、部屋中をオレンジ色に染めていた。

(ジリリリリ…)
未だ鳴り続ける目覚まし時計。

起きる素振りの全くないジン。

その時突然、ジンの部屋の入り口のドアが開き、一人の少女が姿を現した。

『はぁ、やっぱり…。』

少女はそう呟くと、いきなり寝ているジンに向かって飛び蹴りを放った。

(ドゴッ!)

少女の右足がジンの左のアバラ付近にヒットしたのと同時に鈍い音がした。