『なんだよこれ…』

そこに刻まれていた“K”という文字は傷でもなければペンで書いたものでもなかった。

サオリの胸に刻まれていたそれはまるでタトゥーのようにハッキリ刻まれていた。

『サオリ、お前…これなんだよ!?お前タトゥーなんか彫ってたのか?』

サオリがタトゥーなんて有り得ない事だったが、ジンは試しに聞いた。

が、サオリは既に気を失っていて返答しなかった。

ジンは戸惑った。

根拠はなかったが、医者なんかではどうにもならない事だと感じた。

『どうすりゃいいんだよ…』

散々戸惑った果てにジンは頭を抱える事しか出来なかった…

すると突然サオリの胸の“K”が光りだした。

そして、確かに気を失っていたはずのサオリが立ち上がった。

『サオリ?大丈夫なのか?』

すぐさまジンも立ち上がり、サオリの両肩を掴んだ。
が、ジンはその時サオリに違和感を覚えた。

目の前にいるのは紛れもなくサオリ本人。

なのにその表情は今まで見た事もないほど無機質で、その眼はまるでロボットのように冷たかった。

そして、これまで毎日のようにサオリを見てきたジンの直感は間違いではなかった…