『あの人達何やってんだろ?ここからじゃ良く見えないなぁ…』

サオリが人混みをかき分けながら進んだ。

『おい!サオリ!』

ジンもサオリを止めようと後に続いた。

ジンの声に耳を傾ける様子もなくサオリはどんどん進み、人混みの中心にたどり着いた。

『おい!待てって!』

少し遅れてジンも中心にたどり着き、サオリの肩に手をかけた瞬間…

(パンッ!)

爆竹のような音が辺りに響き、火薬の匂いがした。

一瞬の空白の後、ジンの目の前で人が倒れた。

それがサオリだと気づくまでさほど時間はかからなかった…。

『サオリぃぃぃ!』

駆けよって抱えあげたサオリの左胸には真っ赤な血の跡がついていた…。

《撃たれたのか!?》

ジンは直感的にそうさとり、前方に目をやった。

すると三人のうちの1人が銃口をこっちに向けて固まっていた。

『てめえ~!』

ジンは怒りを露にし、銃を持った男に飛び掛かろうとした時、

(パン、パン、パン…)

5、6回ほど先程の破裂音がし、銃の男がジンの目の前で糸の切れたマリオネットのように崩れ落ちた…。