「あのさ、浮き輪は?」


「あー忘れた。」


「さっきあるって言ったじゃんか。」


「そうだっけ?」


何故だろうか…


何故、オーナーに抱き抱えられたまま海の中にいるんだろうか。



体密着しすぎだし…



心臓ドキドキするし…



あ?

ドキドキ? 



何ドキドキしてんの?



ばっ馬鹿じゃないの?


「オーナー降ろして。」


「うん。わかった。」



ザブン…

ブクブク…ブクブク…


足つかないッッ!! 


「ウップッッ!!お…オーナー!!ブクブク…」


アタシマジで泳げないんだ。


金づちってやつ。



ってゅうかマジで死ぬーッッ


バサッッ


「美亜、大丈夫か?」


「ゲホッッ…ゲホッッ…
殺す気かよ…ゲホッッゲホッッ…」


「ワリッ!
マジで泳げねーとは思わんかった。ハハッ…」


「ハハッじゃないから!
マジで死ぬかと思ったから。」


「ゴメンゴメン。
もう離さねえから。」


ドキッッ


またドキドキした。



おかしい。



「ちょっと!
アタシのユッキー取らないでちょうだい。」


「ワッッちょっと!
引き剥がさないでッッ!
泳げないんだからー!」




「ほら、浮き輪あげるわ。じゃ、ユッキー貰うわよー」


え…


翼は、アタシに浮き輪を被せてオーナーを連れ去った。


おい…放置か。


オーナーにべったりくっついちゃて…


男好きか。うん…


はあッッ
さっきのドキドキはなんだったんだ?



わけわかんない。



つか海上がろ。


海から上がると、晴樹さんがパラソルで日焼けしてた。