俺は何度も何度ものぞみの家に足を運んだ。


けれど、中にすら入れてもらえなかった。


のぞみとも携帯で連絡は取っているけど、
あれから1度も会えずにいた。



「お願いします!
話、聞いてください!」


「旦那様は只今いらっしゃいません…」


何度来てもこの返事。



はあ…



今日もダメかよ…



諦めて帰ろうとした時、
門が開いた。


そして、1台の高級車が
止まった。


まさか…親父さんッッ!?



車から降りてきたのは…



真っ白なワンピースで
黒い綺麗な髪の毛
気品ある美人な女の人。



「あなた…のぞみの彼氏さん?」


「あ…はい。」


「のぞみからよく聞いていたの。
ごめんなさいね。
ひどい目に合わせてしまって。」


か細い声…
けれど優しい声。


「俺は別に気にしていません。
あの…あなたは?」


「のぞみの母です。」


のぞみの母親!?


そいやあ、前にのぞみが言っていた。


母親は、体が弱くて
病院に入院しているって。
退院したのかな。

「あの…のぞみの事で話があるんです。」


「私が聞いてあげたいんだけれど…私もあの人には逆らえないの。
のぞみには自由になってもらいたい。
だけど、あの人には逆らえないのよ…」


「でも…
のぞみ、このままじゃおかしくなってしまいます!
だから…俺が言える立場じゃないのはわかってます。
でも、のぞみには幸せになってもらいたいんです!」


「そうね…
わかったわ。車に乗って!」


「奥様ッッ!
なりません!」


「高橋、いいのよ。
さ、あなた早く乗って!」


そう言われて
車に乗り込み。



中に入れた。