バイトが終わって、
のぞみと公園に来た。


「雪夜…
本当にゴメン…」


「何で謝んだよ…」


「だって…
私のせいで…学校退学になっちゃったし…
警察にまで捕まっちゃたじゃない…」


のぞみは、泣き出した。


「泣くなよ…
俺は大丈夫だから。
警察に捕まるのはどーせ時間の問題だったし。」


「時間の…問題ッッ?」


「まあ…しょっちゅう喧嘩とかしてたからな。
いつ捕まったっておかしくなかったんだよ。」


「でも…学校…」


「学校退学になったって、今の生活結構楽しいんだよ。バーのオーナーがな、
行く行くは自分の店出してみれば?って言ってくれてんの。
のぞみに会えないのはすっげえ寂しいよ。
けど、夢ができたから全然大丈夫!」


俺がニッと笑って見せると
のぞみはにっこり笑ってくれた。


ドキドキ…


「のぞみはなんも気にすんな。」


「うんッッ…」


久しぶりにのぞみを抱き締めた。


「雪夜…私、夢があるの。」


「夢?」


「普通のお嫁さん。」


「普通の?」


「うん。
柴崎グループとか関係なしのごく普通のお嫁さん。
できたらね雪夜のお嫁さんがいいな~」


「うわ…それプロポーズ?」


「まあね~」


「かっこわりい~
俺からプロポーズしたかったのに。」


のぞみが望む、普通のお嫁さん。


それは、父親という存在

 "柴崎グループ"という
存在なしの、ごくごく普通のお嫁さん。


のぞみにとって大きな夢だった。