車に乗り込み、
映画館まで移動する。



「実亜ちゃん。」

「何?」

「俺は実亜ちゃんが好き。」

「…うん…」

「実亜ちゃんさ、忘れたいんだよな?」


信号待ちで、晴樹さんが
アタシを真剣に見つめる。

「忘れたい…
もう、苦しい。」

「じゃあさ…俺の彼女にならない?」

「……え?」

「絶対忘れさせてやるから。
雪夜には、実亜ちゃんを預かること言わないから。
だからいっそ俺の彼女になりなよ。」



アタシが晴樹さんの…彼女に…


「でも…アタシ…
人を好きにはならない。」

「わかってる。
でも俺は実亜ちゃんの側にいたい。
俺、今の実亜ちゃん放って置けないよ。」



「晴樹さんに甘えることになる。」


「それでもいいよ。」