「お待たせしました。」

ふたりの前に酒を置く。


初仕事。


「あれー?あなた新人?」

「はい。今日からのバイトです。」


「へ~え。
てゅか雪夜~何故女の子を入れたのよ~」


「ただたんに花がたんねーからかな。
ほら、男性の客もつけてーしさ。」


「ふ~ん。
別に可愛くないじゃん。」


わかってるし。
別にブスで結構。


と言いたいが…


ここは笑顔でスルー


「だいたいさあ、アンタ雪夜に近づきたくてここに入ったんじゃないの?」


まだ食いつくか…


「いいえ。
単なる知り合いに紹介してもらって的な感じです。
別にオーナーには興味ありませんからどーぞお気になさらず♪ニコッッ」


ったく…
どんだけオーナーがお気に入りなんだよ…

嫉妬される覚えありませんし…


「美亜はこの通り、
俺には興味ゼロだから。
ムカツクくらいな~」


「ふ~ん。
なら…許す!美亜ちゃんウチラ常連だから宜しく~」


「宜しくでーす♪アハハ…」


はあ…

疲れるわあ…


オーナー目当ての客=危険。


そして、


カランカランとまたドアが開いた。


って…


「あー!美亜じゃねーか。お前バイト始めたの?」


「健ちゃん…」


健ちゃんも、アタシのセフレ。


最近会ってなかったけど、27で、アパレルメーカー社長っていう金持ち。


だから洋服とか買ってもらってる。



つーか、初出勤でセフレに会うとは…



「健さん、いらっしゃい。」


「よお。」


まさか、オーナーの知り合いとか…。


「健さんは、オープンから来てくれてる常連さんだ。」


なんだ…良かった。


「ねえねえ、健さんと美亜ちんは知り合いなのお?」

うわ…やっかいな龍が来たよ…


お願い。
セフレとか言うなよ~


「まあ、秘密だ。
な、美亜。」


「秘密っていうか…
知り合いっていうか…」


「怪しい~
体の関係だったりして~♪」


「…なッッ…そんなわけないでしょ。ねぇ健ちゃん…」

「さあね~」


さあね~
じゃねーよ!


あ~オーナーの鋭い目がアタシを見ている。


龍変なこと言うなよ…


「あ、お姉さーん注文いいですかあ?」


「はーい!」


ヨシ…逃げよう。