「結婚しようってふたりで決めて駆け落ちまでしようとしたのよ。
ふたりが二十歳になった日、夜中に待ち合わせして駆け落ちしようとしたの。
そして姉はその待ち合わせに行く途中事故で死んだわ。」


「死んだ!?」


「そうよ。
でも私にとったら都合が良かった。」


「何で?」


「好きだからよ。
欲しいから。雪夜が。
やっと邪魔者が居なくなった。
やっと手にできると思った。なのに…」


「アタシがいるから?」


「そうよ!!
アンタも雪夜が好きなのよね。」


「………。」


「無理よ。
雪夜はまだのぞみが好きなのよ。
アンタに近づいたのも、
アンタとデートしたのも、キスしたのも全部アンタが好きだからじゃない。」



「何で全部…知ってるの。」


「監視してたからよ。
アンタと雪夜がうまくいかないように。

雪夜はアンタ自信が気になるんじゃない。」


「え…」


「アンタじゃなく、のぞみよ。
雪夜はのぞみとアンタを重ねてるだけよ。」


全部…


今までのすべてが…



優しかったのは…


アタシがのぞみに似ていたから。



「アンタなんか無理に決まってるじゃない!
所詮、アンタは愛人の子。アンタが愛される資格あるわけないのよ!!」



………ッッ。


全身の力が抜けた。