「だからって裏路地を通っちゃ駄目でしょう。何かあったらどうするの」

「何もないよ。何かあったとしても俺たちがやっつけてやる!」

年頃の男の子はどうしてこうも無茶をしたがるのだろうかとリーシャは頭を抱える。

少年から成年への過渡期にあたる今、体格的にも成長していることが強さへ繋がっているとでも思っているのだろうか。

ジャンの場合、それに正義感も加わっている気もするが、どちらにせよこのまま行かせるわけにはいかない。




「お店によってグリンダさんにジャンが裏路地を通って街に行ってたって言うわよ」

「な!リーシャの裏切り者!いつも飯作ってやってるだろ」

「ご飯を作ってくれてるのはグリンダさんとフレッドさんです。それと、ジャン。いつも言ってるけどリーシャ“お姉ちゃん”でしょう?」

リーシャがジャンの頬を抓りながら注意すると、ジャンはこれ見よがしに両手を前に合わせて頭を下げる。