こればかりは数をこなす練習が必要なため、メリアーデにもこれ以上のアドバイスは出来なかった。
今日はジャガイモとニンジン、鶏肉を乱切りに、ニンニクとタマネギ、トマトをみじん切りにし、下準備は終わりだ。
「で、できた~~」
下準備にもかかわらず、すでに達成感でいっぱいのリーシャはまな板に並べられた野菜を見て満足そうに笑みを浮かべた。
「これからが本番ですよ。よーく見ていてくださいね」
メリアーデはそういっていつの間にやら熱していた油に乱切りして水気を取ったジャガイモとニンジンを入れる。
ジュワジュワと油が弾ける音が耳に楽しく、リーシャはメモを片手に見入る。
ジャガイモとニンジンを揚げている間にもメリアーデは手を休めることなく、次に鍋を取り出してもう片方のかまどにかけ、油を熱す。
油が十分に熱せられたところでみじん切りにしていたニンニクとタマネギを入れ、炒めるとニンニクの香ばしい香りと食欲をそそるタマネギの良い香りが部屋に立ち込める。
そして、休む間もなく先ほど油で揚げていたジャガイモとニンジンを取り出す。
メリアーデは片方で鍋の中のニンニクとタマネギを炒めながらも、ジャガイモとニンジンの揚げ時の音を聞き逃さなかったのだ。
リーシャはメリアーデの手際の良さと、部屋に充満する香ばしい香りに、思わず生唾を飲んだ。
フライパンのニンニクとタマネギがきつね色になり、しんなりとしたところで一口大に切った鶏肉を加え、さらに水を加えて弱火にしたところでメリアーデは一息ついた。