担任の先生に呼び止められて、もう帰る
間際だったらしい向坂くんが、あからさ
まに嫌そうにした。
わぁ、向坂くんてばあからさまなんだか
ら。先生も苦笑いになってるよ……。
「なんすか?俺、すぐさま帰りたいんで
すけど」
「まあまあ、すぐに終わるから。これ、
一階の準備室に運んでくれない?」
先生はそう言うと、とてもじゃないけど
一人じゃ持てないような量の紙束を、ど
ん、と置いた。
お、重そう……。
「んじゃ、よろしくな」
先生はニコニコしながらそう言うと、自
分は手ぶらで去っていき。
気付けば、私と向坂くんの二人きりにな
っていた。
「……。」
「……。」
……沈黙。
すごい気まずいよ、なんて思っていたら
、不意に向坂くんがため息をつき、