「かなえちゃん!こ、声おっきい……」
そう言うと、ハッとしたように口元を押
さえたかなえちゃん。
まあ幸い、私達の他にはまだ、数人しか
いないんだけれど。
「……で、どういうことよ、澪」
ちょっと声のトーンを低くしながら、ひ
そひそと尋ねてきたかなえちゃん。
だから昨日のことを全部話した。
ナンパから向坂くんが助けてくれたこと
。そのあと成り行きで向坂くんとショッ
ピングモールに行ったこと。
話終えた頃には、何故かかなえちゃんが
目をキラキラさせて私を見ていた。
「か、かなえちゃん……?」
「……っいいなぁ~!」
「へ?」
いいなぁ~って、何が?
私的には、助けてもらえたのは良かった
けど、振り回されて大変だったんだよ、
って言ったつもりだったのに。
全然、良いことなんて無かったのに。