椅子じゃなくてソファーだったから、そ
れなりに距離も近い。



「こうやって隣に座れば」



俺はそこまで言うと、泣き虫兎の手のひ
らへと手を伸ばし、そっとそれを包み込
んだ。



瞬間、ビクッと震える泣き虫兎。



そんなソイツに、クスッと頬が緩んだ。



「手、繋げちゃうんだぜ?」



そう言ってやれば、みるみるうちに涙で
瞳を揺らす泣き虫兎。



……ほんと、泣き虫。



「……っ、ず、ズルいです……」


「別にズルくなんて無いだろ」


「普通は向かい合って座るんですよ…」


「俺、普通じゃないから」



ニッコリと笑って見せれば、ビクッ、と
また震えて。



まるでおぞましいものでも見るかのよう
に俺を見つめてきた。