――約束、守って無いじゃないですか。
そう言いたいのに、耳にくっつく幾つも
のピアスと、サラッと揺れる金色の髪の
毛とかを見てたら、きゅうっと萎縮して
何も言えなくなる。
あんな約束しなきゃよかった―――。
ううん。違う。嫌だって言ったって、き
っとこの人は聞いてなんかくれなかった
んだ。
全部、自分の都合の良いように言いくる
めて、本当にズルい人。
「早く言わねーと……お仕置き、だな」
「……よ…ます…」
「ん?聞こえない」
せっかく、頑張ってどうにか口にしたの
に、そんな意地悪な事を言ってくる彼は
酷い。
少しくらい、大目に見てくれたって、い
いじゃない。
「おはよう……ございます……っ」
うつむきながら、ぎゅうっと瞼をキツく
閉じてそう言う。