ひゅ、と手を引っ込めようとしたソイツ
の手を、逆に強く握り締める。
「……早く決めろ、どこに行きたいのか
」
軽く睨み付けながらそう言うと、あから
さまに怯えた表情で、口を開いた。
「じゃあ……カ、カフェで……」
「ん」
最初は小腹でも空いたのかと思ってたけ
ど───。
「……お前の目的は、これか」
カフェに入るなり俺の手を振り払い、テ
ーブルについてホッと安堵した泣き虫兎
を見下ろした。
どんだけ手を繋ぎたくないんだよ。ま、
男嫌いだからしょうがねーかもしれねー
けどさ……。
しかしそんなあからさまにされるとムカ
つくというか……すげー高速だったぞ、
今。
「はぁ……。あのな、」
俺はキョトンとする泣き虫兎を見下ろし
てそう呟くと、ソイツの隣に腰をおろし
た。