ずるずると引き摺られるようにどこかへ
連れていかれそうになる。
やだよ…っ、助けて燐ちゃん───
ぎゅ、と目を瞑ってそう祈った瞬間。
「な……っにやってんだよ、このクズ野
郎!!」
そんな怒声と共に、私の肩を掴んでいた
茶髪さんが思い切り吹っ飛んだ。
え……っ!?
「お、おい!大丈夫か!?」
「……っテメェ!何しやが……!?」
他のお仲間さん達の一人が茶髪さんに駆
け寄りもう一人が、私の前に立っている
彼に目を向けた瞬間。
「お、おい……コイツ…」
「は?…っ向坂空!?」
彼───向坂くんの名前を呼ぶと、血相
を変えて、へこへこと謝りながら脱兎の
如く去っていった。
す、すごい……。一体どんな手を使った
んだろう……。