―――ドサッ。
隣の席に、無造作に置かれたバッグの音
に、ドキッと心臓が跳ねた。
―――勿論それは、恋のドキドキとかじ
ゃ無くて。
嫌なドキドキ。恐怖がじわじわと迫って
くるような、動悸。
恐る恐るそちらを見上げると、金髪と赤
色の髪の毛が視界に入って、バッと顔を
反らしてしまう。
や……、やっぱり怖いよー!
だけど。
「おい、こっち向け」
ぎゅっと目を瞑っていると、そうはさせ
ないとでもいうかのように聞こえてきた
低い声。
だけどその声はどこか楽しそうで、私を
からかってるんだってすぐにわかった。
……意地悪、だ。