そう言って、私の顔を覗きこんできた矢
渕くん。
それから、いやらしく、ニッ、と口角を
上げた。
「じゃあもういちごパンツも卒業して、
それなりの下着つけてんの?」
そう言いながら、片手を伸ばしてきた矢
渕くんは、プチン、と、私のリボンを器
用に取り、ブラウスのボタンを一つ、開
けた。
「……っ!?」
「なあ、俺にも見せてくれよ。澪チャン
イチオシの"下着"───」
矢渕くんがその言葉を最後まで言えなか
ったのは、向坂くんが矢渕くんを殴り飛
ばしたから。
きゃあ、とクラスから悲鳴が上がる。
矢渕くんは直前に、両腕でカバーしてい
たから、顔面は無事だったみたいだけど
。
「……ってぇな。だからヤンキーは嫌な
んだよ。すぐ暴力ふるうからさ。……単
細胞の集まりかっつの」
はは、と渇いた笑いをこぼしながら、乱
れた制服を整えた矢渕くん。