もう忘れかけていたのに───……。
───ガタッ
ふと、いきなり向坂くんが席を立ち上が
ったかと思うと、矢渕くんの所まで歩い
ていき、その胸ぐらを掴みあげた。
「テメェ……。澪とどういう関係だ?」
それに、矢渕くんは一瞬驚いたように目
を見張ったけど、すぐにその目を細めて
、向坂くんを見据えた。
「そっちこそ、アイツの何?」
「澪は俺の女だ」
向坂くんがそう言うと、矢渕くんはまた
目を見開いてから、すぐに真顔に戻り。
「ふーん?澪に彼氏、ねぇ?」
そういってから、ペシッと向坂くんの腕
を振り払い。
ニ、と口角を上げながら、私を見下ろし
た。
その意地悪な視線は、あの頃からちっと
も変わっていなくて───……。
「男嫌いな澪に、こーんなイケメンな彼
氏が出来てるなんてね?」