ニッ、と笑う口の隙間から覗く八重歯に
どこか愛嬌を感じる。



だけど───ふと、違和感みたいな、モ
ヤモヤした何かが込み上げてくる。



なんだろう、この感じ……。



「えーっと、矢渕龍馬です!親父の都合
でこっちに来ましたー。まあ、ヨロシク
!」



ニコッと笑ったその笑顔に、女の子達は
ほんのりと頬を染めていて。



だけどやっぱり、私はどこかで引っ掛か
るものを感じていた。



しかもこの名前、どこかで───……。



と思っていたら、バチっと、矢渕くんと
目が合ってしまって。



そしたらいきなり矢渕くんが、



「あ、いちごパンツじゃん。久しぶり」



と言ってきたその瞬間。



ぶわっと甦っていく思い出。それと同時
に、身体が震えだした。