「……ただいまー」
そう言いながら家に入ると、リビングか
ら一人の男の子の人が、ひょっこりと顔
を覗かせた。
「お帰り、澪」
「……ただいまです、燐ちゃん」
ニッコリと笑った燐ちゃんに、私も小さ
く微笑み返す。
……燐ちゃんの笑顔は、すごく癒される
の。
茅野燐(かやの りん)。
現在大学二年生。
身長はモデルさんみたいに高くてスラッ
としていて、大きな二重の瞳に長い睫毛
、色素の薄いミルクティー色の髪の毛。
まるでどこかの王子様みたいで、いつも
安心出来るような微笑みを浮かべている
。
私は訳あって、この茅野家に引き取られ
て居るんだけど、今では燐ちゃんは、頼
れるお兄ちゃんって感じ。
私が辛いときは、いつだって燐ちゃんが
居た。
だから燐ちゃんだけは、気を許せるんだ
と思う。